ブラックレイン。
かつて大阪で撮影された映画。
日米の大スターが共演した夢のようなキャスティング。
そして松田優作の遺作。
端的に言えばこの3要素ですが、それぞれ非常にインパクトがあります。
松田優作の遺作にして、最高の演技。
今では松田龍平さん、翔太さんのお父様という方が有名でしょうか。
髪を刈り上げて、爬虫類のような表情を見せながら、執拗に主人公を狙う悪役・佐藤を演じました。
性格やキャラクターは特に描かれず、その存在感のみが際立ちます。
ハリウッド映画は観客を入れて試写会をひらき、鑑賞後にアンケートをとって結果を変えることがあります。
アクション映画のエンディングとして、主人公マイケルダグラスに倒され、そこにあった杭で身体を貫かれる予定だったクライマックス。
監督はそれを変更して、逮捕して警察に連れて行くというエンディングで公開させました。
捕まっている松田優作は不敵な表情。
これも、プロデューサーからは、やられた悪役なんだから、観客がスカッとするような、しょんぼりした表情をしろと求めたそうですが、松田優作からリドリー・スコットへの提案で、このようになったそうです。
全て、松田優作が演じたキャラクターが素晴らしかったからでしょう。
見て頂かなくては伝わらない存在感ですし、その名演については他にいくらでも記事があるので、別の視点から考察したいと思います。
松田優作演じる佐藤の武器
それは、凶暴性。などいう話ではなく実際の武器です。
短刀、いわゆるどすです。少し長いので、小太刀みたいなものでしょうか。
これが実に彼のキャラクターをよく表現しています。
懐に忍ばせた武力。いつでも発揮する暴力。発揮したときの攻撃力。
これらをとてもよく表現する見事な使い方だなと思います。
佐藤は基本的に銃を撃ちません。全て刃物です。
バイカーであるというところも、キャラクター的、または衣装的に大きな特徴をもたらして効果抜群ですが、ここでは短刀の重要性に着目しました。
ブラックレイン、大阪でのロケ地
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監督リドリー・スコットは、そのビジュアルセンスにおいて、世界で最も評価が高い監督です。
が、大阪での撮影はアメリカとちがい、協力的ではなく、非常に苦労したとのこと。
(東京よりは協力的だろうという意味で選ばれたのですが)
夜の街では、リドリー・スコットはよく路面に水をまきます。
ネオンが路面に反射したりする効果を狙うからです。
こういった効果一つ一つに、許可が必要で、非常に手こずり、当初の予定どおりに取り切れなかった部分も出てしまいました。
その部分は海外で追撮して完成したんですね。
ブラックレインといえば、というシーンのロケ地をあげてみます。
例えば警察内部は大阪府庁ですが、まあ、内部に入ることもありませんので、もっと雑多なロケ地をご紹介。
グリコの看板の前で。
言わずと知れた、道頓堀戎橋。当時はナンパ目的が多く、ひっかけ橋と呼ばれていました。
最近はグリコの看板という方がピントと来やすい気がします。
セルフィースポットであり、大阪といえば、という風景のひとつ。
映画の中では事件があったクラブのある場所、という意味合いで撮影されました。
阪急うめだ前にハリウッドスター。
ここはもう今は改造されていますが、高い天井まで伸びる大聖堂のような柱や、ステンドグラスのようなデザインは、大阪を訪れた人のみならず、地元住民にも強い印象を残していました。
そこを歩くアンディ・ガルシアとマイケル・ダグラス。
その後の罠へと続きます。
ちなみに現在はこんな感じ。デザインはさっぱりしましたが、上品な空間です。
十三にハリウッドスター。
ここはいわゆる夜の街です。ギラギラしてます。
お好み焼きではなく「ねぎ焼き」という言葉が生まれた場所でもあります。
大阪うめだや新大阪にも支店がある、ねぎ焼きやまもとの本店がここにありました。
がんこ寿司の看板もランドマークでしたね。
京一会館。京橋にハリウッドスター。
これまた下町の京橋。パチンコ屋のシーンですね。